万一の時は、一刻も早く任意売却に踏み切るべき。

任意売却という方法を使って、危うく競売にかけられそうになったところを切り抜けたという話を、弁護士事務所に行って、何件か聞いたことがあります。

任意売却というのは、その名のとおり不動産の持ち主の任意で売却ができるということ。

これに対して競売というのは、半ば強制的に債権者の権利を行使され売りに出されてしまうことです。

任意売却に対して競売を強制売却とは呼びませんが、わかりやすく言ってしまうと、この両者には任意か強制かの違いがあります。

私が訪ねたのは宮城県仙台市にある法律事務所で、「ここ数年のあいだに増えつづけている任意売却と競売の一般からの相談ごとに対応して、無料相談会を開くことになった」という連絡を受けたからです。

私自身は宮城には縁もゆかりもありませんが、その事務所の弁護士先生の紹介で、5年ほど前に東京で任意売却による整理を終わらせたばかりでした。

住宅ローンの滞納がつづいていた当時、固定資産税もマンションの管理費も支払えない状況に追い込まれていて、どうしようもない状態でした。

任意売却で事をすすめた場合、住宅所有者(債務者)の意思で売却価格(販売価格)を決められ、売却代金のうちのいくらが手元に残るのか、すべて計画的に行うことができます。

不動産査定や売買契約などは仲介に入ってくれた不動産業者が行ってくれるので、基本的には一般の不動産売却とかわりありません。

私の場合は、固定資産税やマンション管理費などが清算できるように事前に売却価格を決めてもらいました。

おかげでこれらの滞納分も含めて清算できました。

同じ売却でも競売物件になってしまうと交渉の余地は何も残されていません。

万一のときはできるだけ早く任意売却に踏み切りましょう。

超法規的措置の取れない日本の法律。

宮城県仙台市のほうに行くと、水産業はだいぶ復興していますが、もともと住宅地であったところが更地のまま残されているエリアがかなりあります。

大震災によって家屋は失ってしまったものの、土地の所有権はそのまま持ち主に残り、敷地を売却するか、あるいは新しく家を建て直すかという決断ができずにいる世帯が多数に上っているからからです。

無理のないことです。

住宅ローンを利用して建てた家を失って、ローンの残債だけが残ってしまった世帯には、家屋を新しく建てる余力など残されていないからです。

法的な債務者と債権者の立場だけが残り、金融機関の若干の緩和措置が講じられているだけです。

国や宮城県の自治体、あるいは宮城にオフィスを構える弁護士事務所などは、さまざまな特例措置や無料相談会などを講じて、こうした世帯のバックアップをつづけていますが、とても十分なものとは言えない状況です。

一時期は相談員などが地域を巡回していたようですが、いまではそうした姿も見かけなくなりました。

いわゆる失ってしまった家屋の住宅ローン残債と、新しく住宅を建てるためのローン、「二重ローン問題」も相変わらず解消されないままです。

これでは住宅の購入者は立ち往生するしかありません。

日本の任意売却とか競売といった制度とは異なりますが、アメリカでは万一住宅ローン返済ができなくなって債務不履行に陥った場合、購入した住宅を手放せば不動産の持ち主に、不足分の残債を支払う義務はなくなります。

任意売却とか競売といった面倒な手続きを経て不動産売却をしなくても、物件の所有者は家と土地を手放しさえすれば借金はゼロになるのです。

マイホームを失うことは残念なことですが、借金がゼロになるのであれば、いくらでも個人の生活や将来を再生することができます。

日本にはそういった合理的で寛容な法律はありません。

任意売却のことを個人再生の手段などと言う専門家がいますが、多額の住宅ローン残債をかかえて、個人再生ができる見通しなど立つわけがないのです。

結局、担保不動産となっている土地は、競売にも入れず、もちろん不動産売買といった通常の商取引にも入れないまま放置同然になっています。

どんな方法でも構わないと思いますが、国や自治体や金融機関、不動産業者のあいだで、もう少し交渉の余地が生まれるような超法規的処置というのは取れないものでしょうか。